ー可能性を考えるー
意外にも本人にも分からない不登校の理由
私が現在関わっている子どもたちのほとんどが、不登校を経験しています。
小学校や中学校は不登校でほとんど行っていないという子も少なくありません。
今では週に数日でも登校できているので、「不登校を克服した」と言える、勇気ある子どもたちです✨
私はこのような現場にいるので、「不登校」や「発達障害」といったワードがとても身近なため、何も特別だとは微塵も感じないのですが、教育関係者ではなかったり、お子さんをお持ちの方でなければ、まだまだ「気を遣ってしまう」ことかもしれません。
そんな彼らに不登校になった理由を聞いてみると、意外にも「特にないかも」、「よくわかりません」、「なんとなくめんどくさくて」等、これといったトドメのような出来事があったわけではないことが多くて驚きます。
2、30年前の「不登校」(当時は「登校拒否」なんていう言葉が使われていましたね)の一番の理由はいじめだったように記憶していますが、今ではあまり聞かれません。(もちろんいじめが無くなったわけではありませんが)
知らないと気づけない
また、日々、小中学生の不登校の親御さんからもご相談を受けますが、親御さんでもなかなか気づかない(気づけない)、不登校になった根本的原因があることも多いのです。
その多くが、発達障害や、学習障害、HSP(Highly Sensitive Person「繊細さん」とも呼ばれていますね)気質が強かったり…と、子育てをしながらなんらかの「育てにくさ」を感じることがあったのでは?…と、思うことが挙げられます。
乳幼児期の早い段階で「ひょとして?」と気がつければ、そこに合わせた対応ができるので、負の経験を過剰にせずに済むでしょう。
とはいえ、初めての子育てだったり、身近に子どもがいなければ、なかなか気づくのは難しいと思います。
いまどきの育児本には、ちょっと気になる子どもの反応や行動、言語などについて書かれているものも増えているようですが、それをすっかり信じてしまうのも危険だったり…
私のお勧めは、育児本よりも、ガッツリ専門書を参考にすることです。
ちょっとハードルは高いかもしれませんが、専門書を扱っている大型書店の「精神医学」といったコーナーへ行くと、発達心理学や児童心理学といった、子どもの発達についての専門書が置いてあります。
「こんな困り行動にはこうする」といった、主に対処療法が書かれている育児本よりも、根本的な子どもの発達の仕方や、心と身体の関係などを知るほうが、結果的に効果があったりします。
私は自分が子育てに行き詰って参考にした育児本は数知れず…ですが、残念ながら私を救ってくれた本は一冊もありませんでした(泣)
特性にあった接し方が大切
特に発達障害や学習障害の場合、療育という支援を早い段階で受け始めることで、心と身体の健康を保ちながら自立し、社会参加もスムーズにできるようになると言われています。
しかし、気づきとタイミングを逃してしまうと、子どもは「訳も分からず毎日がつらい」生活を送ることになるのです。
例えば学習障害の場合、脳の器質的な特性ですが、それを理解している人(親も学校の先生も)は少ないでしょう。
小学校1年生くらいでは、うまく書けなくても、まだまだ筆圧などの個人的な体の成長が関係しているし、足し算や引き算も脳内の処理速度が成長のばらつきもあるから判断も難しいと思います。
でもここで学習障害について何らかの知識があれば、「ひょっとして?」という可能性を持ちながら接することができるので、本人の自尊心を傷つけるような言葉や態度にはならないでしょう。
やってしまいがちなのは、「どうしてもっときれいに書けないの?」「どうしてこれがわからないの?」などと、親がポロっと言ってしまうこと。
親にしてみればなんでもない一言。
でも、実は子どもにとってはその一言が強烈な一撃となることが意外にも多くあるようです。
そうなると、子どもとしては、どうして自分は頑張っているのに漢字が書けないんだろう?覚えられないんだろう?計算ができないんだろう?…と思い始め、漢字テストや計算テストで得点がとれずに先生や親に「もっと頑張りなさい」と叱られる…
そんな日々が続けば、頑張ることを止めてしまうでしょう。
それだけでなく、自尊心が傷つき、どんどん自信を失っていってしまいます。
これが成長と共に他人を認識できるようになってくると、自分と他者を比べることで自己肯定感が下がっていく…そんな負のスパイラルに陥ってしまうのです。
本来学校はお友だちと楽しく過ごせる場所でもあるはず。
それが、苦痛の場でしかなくなってしまうのですね。
今回は例として学習障害を取りあげましたが、他にもこのような状況に陥ってしまうケースはたくさんあります。
続はまた次回。